1. ニンバス株って何?
今、話題になっている新型コロナの変異株「ニンバス」(正式名:NB.1.8.1株)は、オミクロン株からさらに進化したウイルスで、もともとは「XDE株とJN.1株の組み換え(XDV株)から派生したもの」とされています。2025年初めに確認され、世界中で徐々に広がり、日本でも感染が拡大しています。
名前の「ニンバス」、ハリーポッターの作中で登場したホウキ「ニンバス2000」を想像される方もいると思いますが、「ニンバス」とはラテン語で“雨雲”を意味する言葉です。親しみやすい名前となるように海外の学者が命名しました。
2. 感染力と免疫への“すり抜け力”――どうして広がりやすいの?
ニンバス株の特徴は、まず感染力の強さです。ウイルスが人の細胞に入り込む際に使う「ACE2受容体への結合力」が高く、オミクロンLP.8.1株よりも感染しやすく、XEC株よりは少し劣るものの、非常に伝播力が強いとされています。
また、過去の感染やワクチンでできた抗体(免疫)を狙い撃ちする“免疫逃避”も得意な株です。抗体による防御が3~4割ほど弱まる可能性があり、以前に感染したりワクチンを打ったからと安心せず、引き続きの対策が大切です。
3. 症状は?「カミソリで切られたような喉の痛み」が印象的
ニンバスにかかると、最も特徴的に語られるのが「喉の痛み」です。「剃刀を飲み込んだよう」「ガラスの破片を吞んだみたい」と表現されるほど強烈で、患者さんの多くが驚く症状のひとつです。
ただし、すべての人にこの痛みがあるわけではなく、他の症状も多彩です。具体的には、発熱(38度以上)、せき、たん、鼻水、鼻づまり、頭痛、関節痛、息苦しさ、倦怠感、消化器症状(吐き気・下痢など)、味覚・嗅覚障害などが報告されています。
つまり、咳や発熱、倦怠感など、一般的な風邪やコロナ症状も当然含まれるわけで、喉の激痛がなくても油断は禁物、気になる症状があればまずは受診を検討してみましょう。
4. 重症化リスクと治療可能性――今できることを知って安心を
幸いなことに、現時点でニンバス株が他の変異株に比べて重症化しやすい、致死率が高いといったデータは確認されていません。前回もお話しさせていただいたように、変異株のランクづけでは監視下の変異株(VUM)に該当しています。WHOも重症度に差はないとしており、治療法も従来と変わりません。
ワクチンは、特に高齢者や基礎疾患のある方には重症化予防のために引き続き強く推奨されています。日本ではオミクロンJN.1系統対応ワクチンに加え、LP.8.1対応の新ワクチンの承認・接種も進んでおり、幅広い変異株に対応できる免疫効果が期待されています。
抗ウイルス薬(例:パキロビッド®)についても、ニンバス株に対して耐性の報告はなく、有効性は維持されているとWHOが示しています。
5. 私たちにできること――予防とセルフケアで安心を広げよう
ニンバス株の流行に対して、私たちができることは日常の感染予防と早めの対応です。前回もお話ししましたが以下を心がけましょう。
- 手洗い・換気・人混みを避けるなど、基本的な感染対策は変わらず有効です。
- 喉の激しい痛みや発熱、咳があったら早めに受診を。自己判断せず、安心・安全な医療に頼ることが大切です。
- ワクチン未接種の方や高齢者などリスクが高い方は、追加接種を検討しましょう。
- セルフケアも活用:温かい白湯やのど飴、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどによる緩和もOKです。ただし症状が続く場合は医療機関に相談してみましょう。
まとめ(振り返り)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ニンバス株とは? | オミクロン株由来の組換え株。愛称「ニンバス」は“雨雲”を意味し命名には親しみやすさが重視された。 |
| 感染力・免疫逃避 | 従来より感染しやすく、抗体の効果が低下する可能性あり。 |
| 症状 | 喉の激痛(カミソリ/ガラスのよう)が特徴。他に発熱・咳・頭痛も。味覚障害は少ない。 |
| 重症化 | 従来株と同程度。ワクチン・治療薬の有効性は維持。 |
| 対処法 | 基本的対策、早めの受診、セルフケア、ワクチン接種がポイント。 |
長くなりましたが、いかがでしたでしょうか?ニンバス株は確かに特徴的ですが、正しい知識と行動で乗り切れる相手でもあります。読んでくれたあなたと大切な人が、安心して日々を過ごせるよう願っています。
次回はコロナの検査と登校・出社への影響についてお話します。

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