心房細動とは?
心房細動(しんぼうさいどう)は、心臓の上の部屋である心房が規則正しく動かず、細かく震えるようになる不整脈の一つです。日本では高齢化に伴って患者さんが増えており、40歳以上の約1.3%に認められるとされています。年齢が上がるほど頻度は高くなり、80歳以上では6.1%にみられると報告されています。男性にやや多いのが特徴です。
心房細動が起こりやすくなる背景には、加齢そのものに加えて、高血圧、心臓の病気、糖尿病、肥満、睡眠時無呼吸症候群、過度の飲酒などがあります。これらの影響が長く続くことで心房に負担がかかり、心臓の電気の流れが乱れやすくなります。
症状としては、動悸、息切れ、疲れやすさ、胸の違和感などがみられることがありますが、症状がほとんどなく、健診や他の検査で偶然見つかる場合も少なくありません。そのため、気づかないうちに長期間続いていることもあります。
心房細動自体がすぐ命に関わる病気ではありませんが、重要なのは合併症です。心房の中で血液がよどみ、血のかたまり(血栓)ができやすくなり、それが脳に飛ぶことで脳梗塞を起こす危険性が高まります。また、心臓の働きが弱まり、心不全につながることもあります。このように心房細動は、加齢とともに増え、放置すると生活の質や将来の健康に大きく影響する病気です。
心房細動の診断
心房細動の診断は、心臓の動きやリズムを調べる検査によって行われます。最も基本となるのは心電図検査です。心電図では、心臓の拍動が不規則になっていることや、本来みられるはずの規則的な波形が消えていることを確認します。動悸や息切れなどの症状があるときに心電図をとることで、心房細動がはっきり分かる場合があります。
ただし、心房細動は出たり止まったりすることがあり、検査のときに必ず起こっているとは限りません。そのため、症状が時々しか出ない場合には、24時間心電図(ホルター心電図)や、数日から数週間心電図を記録できる装置を使って調べることがあります。
また、心房細動が見つかった場合には、心臓の大きさや動き、弁の状態を確認するために心エコー検査を行うことがあります。これらの検査を組み合わせることで、心房細動があるかどうか、そして心臓の状態を総合的に判断します。
心房細動の治療
心房細動の治療は、「症状を楽にすること」と「合併症を防ぐこと」を目的に行われます。治療方法は患者さんの年齢、症状の強さ、心臓の状態、生活への影響などを総合して選びます。
まず内服治療です。心拍数が速くなりすぎないように整える薬や、脈の乱れを抑える薬が使われます。これらは動悸や息切れを軽くし、日常生活を送りやすくするために重要です。また、多くの患者さんでは脳梗塞を防ぐ目的で血液を固まりにくくする薬が必要になります。症状が軽くても、脳梗塞の危険性が高い場合には内服が勧められることがあります。一方で、危険性が低い場合は必ずしも内服が必要でないこともあります。
内服治療は体への負担が少なく、多くの方に選ばれる基本的な治療ですが、薬を飲んでも症状が十分に改善しない場合や、副作用で続けにくい場合もあります。
そのようなときに検討されるのがカテーテル治療です。これは足の付け根などから細い管を心臓まで入れ、心房細動の原因となる異常な電気信号を出す部分を焼いて抑える治療です。成功すれば心房細動が起こりにくくなり、薬を減らせる、または中止できる可能性があります。ただし、すべての人に適しているわけではなく、病状によって向き不向きがあります。
このように心房細動の治療には複数の選択肢があり、患者さん一人ひとりに合った方法を相談しながら決めていきます。