心不全とは
心不全とは、心臓の働きが弱くなり、全身に必要な血液を十分に送り出せなくなった状態をいいます。心不全は経過の違いから「急性心不全」と「慢性心不全」に分けられます。
急性心不全は、短期間で急に症状が現れる心不全です。これまで問題がなかった方でも、突然、息切れが強くなったり、横になると息苦しくなったり、夜中に呼吸が苦しくて目が覚めることがあります。体に水分がたまりやすく、足のむくみや体重の急な増加がみられることもあります。症状の進行が早いため、日常生活が急に難しくなり、早めの対応が重要になります。
一方、慢性心不全は、心臓の働きが徐々に低下し、長い時間をかけて進行する心不全です。初期には症状が軽く、疲れやすい、階段や坂道で息切れがするなど、年齢のせいと思われがちです。しかし進行すると、少しの動作でも息苦しさを感じたり、むくみや体重増加が目立つようになります。良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、生活に影響が出てくるのが特徴です。
急性心不全と慢性心不全はいずれも、心臓からの血液の流れが滞ることで、肺や全身に負担がかかり、息切れやむくみなどの症状が現れます。日々の体調変化に気づき、症状を放置しないことが大切です。
心不全の原因
心不全は、心臓そのものの病気や、心臓に負担をかける病気が長く続くことで起こります。原因は一つではなく、いくつかの要因が重なって心臓の働きが弱くなります。
最も多い原因の一つは、高血圧です。血圧が高い状態が続くと、心臓は強い力で血液を送り出さなければならず、次第に疲れてしまいます。その結果、心臓の筋肉が厚くなったり、動きが悪くなったりして心不全につながります。
次に多いのが、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患です。心臓の筋肉に十分な血液が届かなくなると、心臓の一部が傷つき、全体の働きが低下します。一度傷んだ心臓の筋肉は元に戻りにくく、心不全の原因になります。
また、心臓の弁の病気も重要な原因です。弁がうまく開閉しないと、血液が逆流したり流れにくくなり、心臓に余分な負担がかかります。この状態が長く続くと、心臓は弱ってしまいます。
そのほか、不整脈、心筋症、先天性心疾患などの心臓の病気も心不全を引き起こします。さらに、糖尿病、腎臓病、貧血、睡眠時無呼吸症候群など、心臓以外の病気が原因となることもあります。
このように心不全は、さまざまな病気が関係して起こるため、日頃から持病の管理を行うことが大切です。
心不全の検査と診断方法
心不全が疑われる場合、いくつかの検査を組み合わせて心臓の状態を確認し、総合的に診断します。検査は体への負担が少ないものから行われます。
まず大切なのが問診と診察です。息切れ、むくみ、体重増加、疲れやすさなどの症状がいつから、どのように出ているかを確認します。聴診では心臓の音や肺の音を聞き、心臓や肺に水がたまっていないかを調べます。
血液検査では、心臓に負担がかかると増えるBNPやNT-proBNPという数値を測定します。これらは心不全の程度を知る目安になり、治療効果の確認にも役立ちます。また、貧血や腎臓の働きなど、心不全に影響する全身の状態も調べます。
胸部X線検査では、心臓の大きさや肺に水がたまっていないかを確認します。心臓が拡大していたり、肺うっ血がみられると心不全を疑います。
心電図検査は、不整脈や心筋梗塞の痕跡などを調べる検査です。心臓のリズムや電気の流れを確認することで、心不全の原因を推測できます。
心エコー検査は、超音波を使って心臓の動きや大きさ、弁の状態を直接観察できる重要な検査です。心臓のポンプ機能や血液の流れを評価し、心不全の診断に欠かせません。
これらの検査結果を総合して、心不全かどうか、重症度やタイプを判断します。
心不全の治療
心不全の治療は、弱った心臓を助け、症状を和らげながら悪化を防ぐことを目的に行います。治療は一時的なものではなく、長く続けていくことが大切です。
まず基本となるのが生活管理です。塩分をとりすぎない食事は、体に水分がたまるのを防ぎ、心臓への負担を軽くします。体重を毎日測ることも重要で、短期間に体重が増えた場合は、心不全が悪化しているサインのことがあります。無理のない範囲で体を動かすことも、心臓や全身の体力維持に役立ちます。
薬物療法は心不全治療の中心です。体にたまった余分な水分を尿として出す薬は、息切れやむくみを改善します。また、心臓の働きを助け、負担を軽くする薬を継続して使うことで、症状の悪化や再入院を防ぎます。薬は自己判断で中止せず、指示通りに服用することが大切です。
症状や状態によっては、医療機器を用いた治療が行われることもあります。心臓のリズムを整える装置や、重症の場合には心臓を補助する機械が使われることがあります。
心不全は良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。治療を続けながら、息切れやむくみ、体重増加などの変化に早く気づき、早めに受診することが、安定した生活につながります。